27時の独り言

オタクが好きなものや考えたことをつらつらと述べる場所です

ショック

砂時計も読んだ覚えがあるけれど

特に思い出深いのはPiece。

あの漫画、ガラスの破片のようにじわりと刺さる言葉が多かった。

よく覚えてるのはバスの話。

私はバスを降りられない、「間違ったバス停」に惹かれる癖に、降り逃し続けてしまう凡な人間だなといまだになぞらえていたのだもの…

 

私の芯に確かに染み渡っている、そういうものを生んでくれた方の一人だったんだなと思う。

 

 

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ふと気づいた気づきとも言えないこと。

そのとき、その後は、須らく、そうでいない誰かへと渡るものということ。いつでも、彼女以外の人が語り、羨み、悼む。

それこそがあの甘やかさの正体だということ。

ああ、炭治郎が言っていた

「回帰しない」とは今更ながらそういうことなんだなあ。

二度とは戻らない。戻る必要がない。

取り戻せはしないこと。

 

 

オトパ2023 1日目(夜)感想

2公演目開演直前…

どきどきしつつ昨日の振り返り。

 

 

・ノルン

すごく懐かしい…千こは推しだけど駆くんのベタベタ感もやっぱ好きやなあ


・キュピパラ

あれーもうFD出てたっけと思ったけど、やっぱ出てなかったよね。

FD元々買うつもりだったけど、新攻略キャラ一番気になってたからもろ販促が刺さり普通により欲しくなったw

というか最近上村さんの声とかキャラとか好きなんだよなあ

 

・薄桜鬼

ああ薄桜鬼って

まさに桜の如く儚い、彼らの生き様を描ききった、そういう作品だったなとまじまじ思い出して

 

なんか胸に来た

懐かしさと年月の重みがすごく溢れた

 

若水の始まりは、正直まだ薄桜鬼擦るんかいとは思ったけど同時にあ〜掘り下げるならやっぱその辺りだよねえと納得。

史実要素はやり尽くしてるだろうし、あと出来るとしたらファンタジーのほうよね。

 

__オトメイトは薄桜鬼とともに。

そういうことなんですね。(今更)

 

 


・新作

なんとかの炯、あれは絶対買う。

中華ファンタジーまじで待ってましたよ

 

AKBは…一体??

ちょっと情報少なすぎて…スラダン流行りに乗っかって中国とかで売りたいのだろうか…

 

 

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声出すのやっぱ楽しくて!

取り急ぎだからまた後でまとめたい〜

最近、

語りたいことはたくさんあるのに忙しい。

providence感想未だに感想書けてないよ……

舞台挨拶組だったのに。フェス後にまとめて書けるかな

 

いやまあカラマリと一緒に記事にするってのを考えてたのもあるし。明日ようやっと観れそうだし週末に……

いやチビチビ進めてるバスタフェ終わらせてそっちの感想もまとめたいのよ……

 

神イベントじゃんと思った後宮の烏イベも書けなかったしもう気合い入れないと本当に坊主。

 

 

FGOのキャラ語りとかも草稿だけまとめて手付かずじゃん。そうこうしてる間に推しの宝具5絆10金フォウマ足跡マが終わっちゃったよ

(双子ちゃんわたくしはオーディールコールも迷わずセイバーに素材全ベットですのよ)

 

 

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だからね。

色んな企業さん運営さんにもこれは言いたい、声をあげることってって体力いることなんだよと。

もう感想ってタダの時代じゃないよね。

 

だって便所の落書きですらお金になる時代でさ

なんかおざなりにアンケートとか書かせられるといやこっちの時間奪っといてそっちが金払えよとか思うものね。

 

でもだからこそ収益とか損得に関わらない言葉であることに誇りを持ちたいとも思うのだけど

 

『テミラーナ国の強運姫と悲運騎士団』攻略後感想

※ネタバレあり

※一部キャラdisあり

 

 

 

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・攻略順について

なんとなく

アデル→トビアスミラン→キア→ジョセフィ→隠し

で行ったところまあ不可もなく。

 

でもジョセフィ最初で良かったかなー


徐々に真相をアンロックしてく順番と考えると

ジョセフィ→ アデル→トビアスミラン→キア→隠し


が多分無難におすすめ?

 

 

・総評

作品全体は、なんだろう

言うなら悪役令嬢もの、昨今のなろう系「乙女ゲーム」を逆輸入して至極真面目に再構築した、みたいな感じで

 

いわゆる定番の西洋風ファンタジーをやりきってるところ、

まあオリジナリティというとあれなのかもしれないけど世界観の作り込みも想像以上にしっかりやってるのが個人的には良いなという部分。

 

隠しルートのボリュームが結構あるのもあって終わってみると思ったよりも物足りなさを感じなかった気がする。

 


高木さんのゲーム特有のEDの入り方とか2週目以降の追加テキストも健在だったしテキストウィンドウの着せ替えも地味に好きだし

 

.....正直名前見たときは若干不安だったけど今回は比較的クオリティも安定しててよかった!

 

 

 

・残念なところ

ただ製品のクオリティとしては正直物申したい。

声優さんの読み間違えは多いし、ボイス抜けてたりとか文脈的にそこ別の名前では?みたいなのもあったし。


こういう品質上の粗って別に1個くらいは目瞑るけど余りにも重なるとちょっと許したくない.....

 


いい文章、面白い話、そういうものを生み出すのって簡単なことじゃないし、というか凄く計り知れない恐ろしいことだと思う。

 

だからこそたとえ稚拙でも考えられた言葉であればそれにお金出すのはさして問題じゃないんだけど、

 

校正・校閲とかそういう商品として当たり前にされてるべきことがおざなりだと脱力する。


なんかカドカワ電撃文庫とかでも散見されるし、次から次に新しいものに取りかかんなきゃいけない世界だとある程度仕方ないとは思います。うん、多分ものすごく忙しいんだろう。

 

でもなんかさ、そういうの大事にしてほしいのよね…

今ってネットの情報ばっかだし、だから誤字とかって多少あっても修正できる、なんならすぐ新しい情報が出るから一々直してる場合じゃないってむしろユーザー側の方の意識に強そうな気さえするけど

 

でもそういう部分にある程度プライドも持って出された情報だからタダで読めない価値が生まれるわけで。


あんまり適当な態度だとがっかりする。というか既存のメディアがそれやるとネットに対抗どころかむしろ自分の首締めるだけだよと言いたくなる

 

という最近胸に渦巻いてた不満の漏れを誘発させられたことを除けば、多少演出の動作が遅かったりとかまあそういう気になるところもまあ目を瞑れる程度にはわりと楽しめたと思う。

 

・攻略キャラ

キャラに関しては、これ大体皆そうじゃないのと思うけどもう1周目からエリックにしか目がいかなくて

これ絶対隠しですね?はよ攻略させい。

エリック気になるよ~と思いつづけて結局そのまま一番好きかなという感じ

 


でもキアくんも好きだし(彼年下のはずなのに包容感が凄い。これがママみ?)

 

トビーのボケっぷりも段々癖になるし(彼はたまにイケメンが発して大丈夫なギリギリを攻めているのが良い)、

 

ジョセフィの個別の甘々感も良かったし(ツンデレ俺様王子のど安定感)。

 

 

あ、ミランは......うん。

正直好きになれるポイントがなく


朴訥系がそもそもあんまタイプじゃないしなというところに催眠・洗脳のせいとはいえモラハラ化......


復讐キャラが鬼畜化ヤンデレ化みたいなのって乙女ゲームだとあるあるだしそれでも好きなキャラもいるけど

これ上手くやらないと簡単に地雷化するやつって意味でもあるあるな気がする。


私的には線が細かったりもの凄く顔がいいというタイプのキャラだと萌えの範囲に収まることもあるかという感じで

ガタイ良くて元々愛想もなかったみたいな人だとちょっと怖さが生々しい……


アデルと展開被ってるってのもあるけどルート中わりとずっとイライラしてた記憶。

とはいえエリックルートでの死に方が悲惨であんまりだったんでもはやその辺どうでも良くなった感はある(笑)

 

 

・サブキャラ

サブもまあ全体的に嫌いじゃない感じで。

 

ヘリングテール団長は地味にかっこいいし

(最初ずっと疑ってごめんなさい終始ただただ良い人でした)


お姉様方も和解前からなんとなく嫌いじゃなくて

アンジェラお姉様はこういうカッコイイ系タイプで虐めてくるって珍しいキャラだと思ったけど普通にただ脳筋なだけで大体和解できるし、一人称オレがめちゃ良いし


クラウディアも不思議となんとなく拒絶感でなかったし

 

伯父様なんかも凄い邪魔してくるしずっとクズムーブなのにどこか漂うポンコツ感?彼は彼なりに国のこと考えてたのかなとほのかに思えなくもないようなそうでもないような、

塩梅の良い小物感。

 


そしてなによりセシリアちゃん可愛いくて頑張り屋で言うところなしヒロイン。

セスとセシリーって2つ愛称があるのが地味に◎。

 

隠しルートエピローグの猫被らないのもそれはそれで可愛いし。

 

 

 

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・「真相」と「大団円」について

エリックルート中にぼやぼや考えていたのは、

ままあるこういう構造って、真相以外の、むしろ正規ルートであったはずの世界が本当に泡沫の夢のように反転して、まあ嫌な人もいそうだし実際複雑な気持ちになるのだけど

 

有り得たかもしれないという可能性だからこその個別ルートたちの輝き、

もうこの世界ではあの彼とは一緒に生きれないんだなという無常、

そういうADVの分岐特有の儚さにやっぱり自分は心踊ってきたんだなということを改めて思い出したこと、

真相ルートがというよりそれを取り巻く全体に久しぶりに胸の痛みを感じられたことがなんかよかったなあ

 

 

 

2023年冬アニメ感想

※色々雑かつ好き勝手な物言い多め

 

正直このクールそんな数は観れなかったけど

なんだろう

わりとゆるめで嫌いじゃない雰囲気ではあった気がする。

 


~完走~

・REVENGER

ボカロ系譜の曲といい前期(だっけ)の一番星~みたいなやつぽいかなと思ってた

速水さんまたこんなやつかあとか

 

キャラのふとした感じは結構よくて

特に惣二の憎めなさ。こういういかにもなのをしっかり作り上げてる部分に上手さを感じたのと

によちゃん回の淫靡な演出がすごかったのはよく覚えてる

 

あとこの作品は妙に声優さんに目がいくことが多くて加瀬さんがめちゃかっこいいのとか

あー私、阪口さん市来さん阿部さんを一生聞き分けられない気がするなとか

 

残念なのは「平田」とかなんとか耳で聞いてすぐに誰のこと言ってるのか把握できなくて

まあその辺りの時代劇らしさが良く作用してるときもあったけど、普通に話に集中出来ない要因になってたような

 

 

 

・シュガーアップルフェアリーテイル

1話の戦闘の作画は気合い入ってて素晴らしかったのは印象的。テンポとかキレの悪さが気になったことが多かった記憶


というか一昔前だと小野大輔さんとかがやってそうなキャラの水中さんのハマり具合が最近すごい


キャラは...まあキャットとキースかな

安直に特に面白みもなく(笑)

 

 

 

・HIGH CARD

想像以上に練り込んであって素直にいいと作品。

毎話展開の雰囲気が違うから飽きないし、

それでいて本筋も進めつつ

ゲストもただの捨てキャラじゃないのが○

 

それかはまたこれもベタすぎるんだけどクリスね。

「普段は軽薄で中身がなさそうだけどふとしたとき寂しそうにしていて実はたった1人の妹のためにすべてを捧げて生きてる男」

という女が好きな男を気持ちよくあざとくやり切ってて痺れたよ。

 

主人公の子が王族関係なのかな?みたいな伏線とか他面子の問題どうするんだろうと途中から思ってたけどやっぱり続くのね、楽しみ。

 

 

 

・ブルーロック

やっぱりスポーツものは漫画だとイメージしにくい部分の動きが分かりやすくなるしアニメっていう媒体との相性の良さを感じたし、

 

特に大きなムーブメントを起こすという程の何かはないけど、うまくまとまってるし原作の面白いところを伝えようとたくさんの大人が色々考えたような痕跡を感じて好印象。


欲張り過ぎず、同時に売るための意図も感じるし、なんと言うかアニメ化としてすごく「優等生」。

 

で、毎回地味にいいなと思ったのがCMのタイミングとか1話ごとの切る位置。

気になるところで止める、絶対に引いてやろうっていうんじゃなくて展開として無理なく切ってるからストレスなくて見れた。

 


これは原作からして思ってることだけど

ブルロはこれで下品さがもう少し控えめだったら評価できるのにな…

良くも悪くも合わせようとしてるのは感じるし、狙ってる層にはまずまず届けられてるんだろうなっていう感じも凄くマガジンらしいっちゃらしいんだけど。


好きなのは黒名くん。聖域だから。

 

 

 

 

~脱落~

・スパイ教室

リリィちゃんともう1人白髪の子目当てで3話まで頑張ったけど

ちょっと先生があまりにアレで…

 


・もののがたり

原作も読んでるし見ようかと思ったけどなんとなく手が出ず無念の0話切り。

なんか作画怪しそうな感じに見えたけどどうだったんだろう

 

 

うる星やつら

原作はかつて挫折したけどるーみっくだしと思って見ようとしたけど

ラムちゃんがしんどくて挫折。

仕方ないけどここまでラムちゃん可愛いラムちゃんしか勝たんのアニメでラムちゃん無理だったらそりゃあもう視聴する動機が皆無だよね

 


・アルスの巨獣

1話は期待したんだけど……

うーん…

切るんじゃなくて気づいたら見なくなっていたというやつ


でもOPは今期一番好きだな~と思ったら堀江さんであ〜ねと納得。

六兆年時代から

この曲いいなと思うとわりとこの人だったってことある

曲を作る才能はある方なんだろうなー

 

 

 

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しかしこうして見ると改めてオリジナルも原作つきも1クールで終了~っていうのが一時期に比べて本当に減ったんだなあ。

正直12話で終了ってなるとキャラ紹介で精一杯だったりするし(なんならキャラに愛着持つ間もない)、

そういう意味では昨今のアニメ界にはいくらかの丁寧さが生まれていて良いことだと思います

 

 

 

 

 

らく魔女映画の感想と少年役についてなど

らく魔女さん、映画やると聞いたときは予想外でびっくりしたけど世代ド直球だから本当に嬉しくて。

 

黒魔女さんとか若おかみとかもう処分しちゃった児童書も多いけど

いまだに大事にしまってる原作。

とはいえ特に復習とかはしなかったけど

ちょいちょい覚えてる言葉なんかもあったりして懐かしかった〜〜

 

フウカの靴下と似てるやつ持ってたなとか「フウカの部屋」だっけ、サイト見てたなとか思い出がよみがえるよみがえる

 

フウカちゃんのあのキャラデザ秀逸だし特に絶妙な髪型が可愛くて憧れたのよね。

さくらちゃんといい、うさぎといい、魔女っ子の髪型って一時代を築く何かがあるんだと思うわ

 

 

あとなんというか改めて見ると闇の魔女は思った以上にキースかっこよエピソードだったのね。

さらりとお姫様抱っこするキースくん君何歳よ...いやそりゃあこんなん目移りしちゃうよ。

 

と同時にチトセが若干ヒーローの座を食われてる感が(笑)

やっぱりチトセくんが棗小狼くん辺りと並ぶ初恋ボーイだしオタクとしての原点の原点だし、

 

うろ覚えだけどチトセがフウカちゃんを守るために時の魔法を覚醒させる話好きだったからあれもやって欲しいなあと思ったり。

 

そういえば魔法陣とかは原作に元々あったんだろうか。黒魔法が東洋系っていうのもあんまり覚えてなかったし魔法周りはアニメになって設定が視覚的に入ってきたおかげか新鮮に感じて楽しかった

 

 

で、なによりキャストさんが全体的にとても納得できるのが◎

まああえて言うならフウカが少し幼すぎ?高すぎる気はしたけど他は本当に文句なし

 

 

わたくし、男の子キャラクターの声優には一家言あるもので

最近で言うとたとえば地獄楽は正直初見ではがっかりした方。画眉丸は私としては女性声優のラインだったんだよなあ…

 

逆に母は文句言ってたけど鬼滅の炭治郎は花江さんでわりとすんなり納得出来たんだよね

だから別に少年役は絶対女性声優派というわけではなく

(癖としては女性の方がテンション上がるけど)

 

炭くんはわりとずっと長男!男の子!という感じだからなのかなあ

 

ちなみにいわゆる耽美系(?) は男性でもOKという感覚で新しいるろ剣もしっくりきたし蔵馬なんかも男性でもよかったんじゃないかと感じる側。

 

そこの境界は自分でもよく分かってなかったけど、

 

そう、多分青年へと至るまでの少年期の不安定さ、危うさに近い魅力をやっぱり女性にやって欲しいって感覚なんだと思う

 

画眉丸って妻帯者だし達観してるようだけど

精神が成熟しきってないというか、少し欠落してるから、物語開始時点で変わる余地のあるイメージで

 

逆に剣心なんかは薫に会った時点で既に色々あった人だし、むしろ心が老成し過ぎてるところからのスタートという印象。

 

炭治郎もそうだけど自己あるいは自分の信念みたいなものを既に確立できているキャラはもう「男」だし「大人」でしょう。

 

そう考えると修が男性キャストで遊真が女性キャストっていうのはもう本当にGJだったなあと。

 

逆にエストなんかは出会ったときこんなにどストライクな子いないと思ったけど結果としてはほどよい推し程度に落ち着いた要因の一つは紛れもなく声。

 

語りますが

少年の魅力とは、決して身体が小さいことではないのです

成長の余地ある精神性、心、人として未完成であるがゆえの神がかった儚さなのです...

 

いずれ自らが守りたいものを定め、変わろうと足掻くときに発揮する輝きをこそボーイミーツガールの真髄と呼ぶべきなのです……

 

(私はショタじじいを認めない)

(ショタじじいはショタではなくただの身体の小さなじじいです)

という暴論はさておいても。

 

発表を聞いたとき、昨今の流れだとチトセも男性がやるかもとちらりとよぎったけど後に安定の田村さんと聞いてからは1ミリの不安もなくなり。

 

少年とはいえカイやキースが男性だったのはむしろ合ってるじゃんと思ったし

本当に不満のないキャスティングにお礼を言いたい映画でした。

 

 

 

 

日雛と藍染と

日雛という

肩書きとしての幼馴染の不変性と、一方で気付かぬうちにじりじりと互いの存在感の質感を変えてゆく在り方。特に後者に関連する再考。

 

普通に日番谷を軸にした考察・解釈もどきという予定だったけどやっぱあの人を抜きには語れないなとなった結果、最早メインが誰なのか…


正直複雑だけど

藍染がいたからこそ生まれた世界観の美しさ(まさに鬱くしいってやつ)も好きだな、といった話。

 

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なぜ日番谷藍染に勝てなかったのか。

いやもちろん、能力、スペック諸々からして最強格の彼相手なら日番谷だろうが誰だろうが作中のほとんどのキャラが負けてしまうだろうけど、そういう意味ではなく。

 


戦いに対する姿勢の問題として。


たとえば数百年先で身につけているだろう力を前借りしたとしても尸魂界篇時の日番谷くんが藍染に打ち勝つことは出来なかったんじゃないかという気がする

 

実際藍染と相対すると暴走して一度も勝つことが出来なかったのだけど

 

藍染を倒すためには、邪魔な想いからくるものだとしてもその愚かさを選んでしまう、

そんな彼のやさしさと弱さが私は大好きで

 

 

少し贔屓目な解釈としては

私はここは対話を経て許さないという思いを高ぶらせたのを見るに感情を抑えられないというより、抑えなかった(怒りに身を任せることを選んだ)という方が近いと感じている


もちろんそれ自体青さではあるけど。

 

未熟だから冷静になれないというだけでなくて

雛森に対する想いはその土壇場でも怒りを暴走させるだけのもので

(実際それは日番谷一人のエゴだけど)彼女のためにその憎しみは捨てちゃいけないものだと、藍染に対して怨嗟の一言さえ零すことが出来ない彼女の分まで自分が叫ぶべきだと無意識に自身に課していた節があるんじゃないかと思う

 

 


でもそういう甘さは死神──護廷十三隊らしくないし、当然の如く藍染も切って捨てるもの。

というのが

 

「俺はてめえを斬れさえすればこの戦いで隊長の座を失っても構わねえ」(45巻)

という特に冷静に考えてラインを越えた感のある発言の直後、京楽・藍染の物言いたげなカットで暗示されてる。

 

 


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この「日番谷の若さを分析する大人たちの敵味方越えたリンク」という構図は、藍染は死神に反逆したけれどその実よくその理念を理解しているということが伝わってきて面白い部分。

誰よりも、「死神」らしくあろうとした?尸魂界の守護者たろうとした?そういう誇りがやっぱり藍染のはじまりの1つなんだろう。

 

 


「やはり若い

勝機と見れば計り無く斬り掛かる

それが君の最大の欠点だ日番谷隊長」(45巻)

 

というわりとさらっと読み飛ばしちゃうモノローグも(まあ展開的にどこまで信じていいか分からないけれど)

口に出して煽る際のくん呼びを思い出すと

隊長としての日番谷への期待から来る言葉のようで興味深いし、

 

 

かの有名な(?)

あまり強い言葉を遣うなよ〜も

煽りの意味で解釈されることが多いし実際藍染本人もそのつもりで言った言葉だろうけど、

 


「こういう大事なときに熱くなるな(だからお前は大切なものを護れないんだ)」

という言外の諭しが無意識に含まれているような、

そういう先生気質(?)──教えたがりというか別に言わなくてもいいことを言っちゃうお節介さというか──


が猫を被っていたときだけでない彼の本質の一部としてある気がする

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そしてまあ藍染のそういう日番谷に対する評価はおそらく色んな意味で的を射ていたので、

(本人が自覚しているかは不明だけれど)結果的に日番谷の「成長」は藍染が彼に対して散々「諭して」きたことの反映のようなかたちにみえる。

 


すなわち、死神代行消失編〜の兎角冷静で挑発にも乗らない、簡単に熱くならない日番谷くんは、藍染の言うところの「弱く見えない」強さを手に入れた日番谷くんなんだろう。

 

 

で、

そうやって考えてみると作中の日番谷くんの歩みの行き着いた先は、大人モードとか精神の成熟とかそういう表面的な成長以上に、

 

何のために戦うか

 

死神としての在り方と彼の信条との水面下での相克が強く関わっていたんじゃないかという気がする。

 

 

 

「死神皆須らく友と人間とを守り死すべし」

(73巻)


ということらしいが。


この場面でそれに触れた日番谷くんが話している相手が白哉というのは実際よく出来ている。


白哉は死神の掟と義妹・ルキアへの情

(→緋真さんとの約束、繋がりそのもので、ある意味で夫婦の愛の証)との間で板挟みになっていたという人で、


つまり、えてして死神は一番大切な人を真っ先に護るのではなくて

皆を救うことがひいては大切な人を護ることに繋がるという価値観で動く生き物ということ。

 


これは身近な大切な人を護ることから出発して皆や世界を救っていった一護の在り方とは対照的で、


だから私はなんとなく、将来的に一護が天寿を全うして将来的に尸魂界の住人になったとしても護廷十三隊には入らないんじゃないか?

というか肌に合わなそうと思っているし、

霊圧のこととかがあって、ある種必要に迫られて死神になった日番谷も(責任感は強い人だと思うけれど)、

本質的には世界を守ることとかにそこまで関心があるタイプではなく、自分の手の届く人たちをまず守りたいと思う、一護に近い考え方をしていたんじゃないか。

 

 

 

隊長という立場を失ってもいいという発言しかり、映画(第2弾)とかを見てても組織としての護廷隊にはそこまで心を預けてはなかったんだろうし、

(生来の孤独感がそうさせるのかもしれない)

死神の身分にも本当は頓着していない、ように見える。

 

 

日番谷隊長だ」

というのはアニメで連呼されてお決まり台詞的なイメージだけれど、ふと、それは小さいこととか未熟さの裏返しとして主張するというだけでなく

なんというか、自分で自分を律する、言い聞かせているというニュアンスもあったのかもと思う

 

 

けれど藍染にまつわる厄災に雛森が巻き込まれて、


(それで言うと、雛森に「日番谷隊長だ」と笑う言葉にはいつも「だから安心しろ」「俺がきっと護る」と続く言葉があったんじゃないのかな

 

かっこつけて言葉足りない系男子だからいつまでも伝わらないんだよぅ…いや伝わらなくていいとさえ思ってそうだけどさ…)

 

 

自分は今のままでは「いつまで経っても雛森を護れねえ」と考えて、

結果卍解を真に完成させるまでできたのは


何にせよ護りたいという感情を優先して動くことが真に彼女を護りきることに繋がらないという自覚に至ったからで、

何もかも、その現実に直面させた

月島さん…

じゃなくて藍染のおかげとも言える。

 

 

でも

その弱さが隊長という役職としては致命的になりうるたちのものだったとして、

 

日番谷くんは優秀だから最年少でありながら器用に隊長としての責務をこなしていたようだし、そのままでも別に上手く回っていたはずで、

 

藍染がちょっかいを出さずとも時間を掛けて自然に自分のなかで折り合いもつけられたんじゃないかなと思うし、

 

雛森に至っては自分から依存させて、弱くしていったように見えるので

 

地獄を見せるっていう荒療治で日雛に成長を強いた元凶さんには何の正当性もないのだけど。

 

 


ただし「護りたい」っていう、厳しいことを言えば独り善がりな想いを抱えた日番谷くんの、

彼のそういう未熟さが大好きな私の想いもまたエゴではあり。

 

だからまあ一人の読み手としては日番谷の弱さが藍染というある種のデウス・エクス・マキナ的存在によって責め立てられる流れになるのはむしろ一定の納得感があるというか。

 

 

 

逆に言えば、

皆を護るもの、だからこそ彼女を護るものとしての強さを日番谷が手に入れて、それが叶った瞬間にはちゃんと「ご褒美」があるようになっている。

 

思えば日番谷雛森のために戦うとき、雛森は気を失っていることばかりで

(彼女が傷つく状況に対して戦うのだから当たり前といえば当たり前だけど)、

原作で雛森日番谷の戦いをきちんと目撃したところが描かれたのはこれが初めてだったんだよね。

 

彼が強さを得たことで、雛森がやっと日番谷をみることが出来たというのは日番谷に用意された何重にも掛かった報いなんだろう。

 

 

 

藍染は日雛にとって確かに障害で、一護の身代わりになろうが何しようが私にとってはいつまでも敵だし

日番谷雛森も薄汚い裏切り者のことなんてはよ忘れて幸せになってと思っているけど

(欲を言えば一泡吹かせてやる機会を)

 


2人にとっては確かに

物語を動かし導く存在として大きな意味を持った人だったと思うし、ひなちゃんが彼を忘れることを選ばなかったのもきっと間違いじゃない選択だったんだろうさ

 

 

 

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他者が立ち入ること叶わない強固な繋がりと触れたら壊れてしまうような繊細さの共存、それが日雛…

 

本当にどこを切り取っても美味しいし、

悲劇(という名の藍染)は確かに2人の物語の根幹だと改めて思う。

 

とはいえ。

これからは、彼が憎しみの炎を燃やし彼女が心を凍らせた時間の分だけ

2人がやさしいときを過ごせますよう。